死にそこないの美学ー種村季弘著1997,3,10初

utu2004-03-09

先日土曜かって読んでいる
鈴木清順陽炎座の映評が本のタイトルになっているが、他の映評にくらべ、明らかにスタイルが違っている。映画の中から、映画に寄り添って書いている点。大正15年の時代を混ぜながら奇妙なスタイルで

死にそこないがあるいている。ふーらりふらふら・・・・

なにやら太宰風でもある。なんか後髪をひかれるよう、胸に後味の悪いような滓がのこる。
僕自身清順の陽炎座を見たのか定かでない、チゴイネルワイゼンはみていたし、喧嘩エレジーも見ていたはずだが。ずいぶん昔の話なので、記憶も分明でない。
種村の文は乱歩の押絵と旅する男の言及で終わるのだが・・・・
大正から昭和への転換期、その時代層の不安像をフィルムに定着した監督へのオマージュなのか、それとも、穿った見方をすれば種村自身の敗戦時の心象風景なのか、スタイルが一見ゆるやがだが、内にすごいエネルギーを秘めている、一文である。
ひきつけられるのもその点からかもしれない。