辞典 『物語要素事典』2004年秋季版(2004年9月15日)

たしか、id:gotanda6さんが辞典について書いてはった。たまたま、いまウェブ上で面白いのが見つかりました。
『物語要素事典』2004年秋季版(2004年9月15日)

『物語要素事典』について

 

           kamiyama@dpc.aichi-gakuin.ac.jp

作成者:神山重彦(かみやま・しげひこ。1951年生まれ。愛知学院大学文学部日本文化学科に勤務。学部で「日本文学の歴史」「講読」「演習」などを担当。大学院で「講義」を担当。)

 

 『物語要素事典』は、古代から現代まで、日本のみならず外国の物語をも対象として、これまでに人類がどのようなタイプの物語を創り出して来たか、概観しようというものです。

一つの物語の全体を空間上の存在としてイメージするなら、それは、線分でもなく、平面でもなく、立体的なもの、とイメージされるでありましょう。比較的長い物語の一編を、複雑な形の立体と見なしてみましょう。その物語を読みおわった読者の頭には、複雑な形の立体がそっくりそのまま入りこむわけではありません。物語の複雑な形は相当の程度にまで単純化され、全体のサイズも縮小されるでありましょう。また、それとは別に、いくつかの印象的な部分が切り取られ、それもまた幾分か単純化されたり縮小されたりして、頭に収められるでありましょう。

 そのようにして記憶に残された物語の断片的なまとまりの一つ一つが、「物語要素」であります。一まとまりというのは曖昧な表現でありますが、具体的にどの程度の規模・もしくは長さのものなのかは、一義的には決められません。その一まとまりも、その中をさらにいくつかに分解することが可能なばあいもあります。一まとまりは、決して最小単位ということではありません。

 一つ一つの物語要素は、もとの物語よりも情報量は相当減っているとはいうものの、もとの物語の性質を反映して、立体的なものです。したがって、これは四方八方から見ることが可能であり、見る角度によって、その形が異なって見えます。どの形が正しくどの形が間違いというわけでもありません。そのようにして見える形が、いわば、物語要素の名前、事典に即していえば「見出し」に相当するわけであります

索引作品・作家のあいうえお順に並んでいて、
例えば<ろ>で次の結果表示

ローマの休日』(ワイラー) 〔アメリカ映画 1953〕   
*→【口】7・【旅】2c・【身分】2a

からリンクされている【旅】2cをえらぶと
次の結果表示(他も出てくるが)

★3a.星界への旅。

銀河鉄道999』(松本零士)  星野哲郎は機械の体を得るために、謎の美女メーテルとともに銀河特急に乗り、太陽系を出て、アンドロメダへ向かう長い旅に出る。

銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)  ケンタウル祭の夜、ジョバンニは牧場の後ろの丘に寝て、銀河を見上げる。気がつくと、ジョバンニは軽便鉄道の車室に座っており、前の席には親友のカンパネルラがいた。二人は、他の不思議な乗客たち(*→〔乗客〕4)とともに星界を旅するが、サウザンクロスを越え、石炭袋が見えたところで、カンパネルラは姿を消す。ジョバンニは丘の上で目を覚ます。

『二〇〇一年宇宙の旅』(キューブリック)  二十世紀末には人類は月に基地を築いていた。月面探索中に、四百万年前のものと思われる謎の黒石板(モノリス)が、月面下深くから掘り出される。それは、知的生命体の存在を証拠づけるものだった。黒石板からは、強力な電波が木星に向けて発信されていた。十八ヵ月後、宇宙船ディスカバリー号木星へ向かい、乗員ボーマンは、時空を超えた宇宙の彼方にまで到る→〔自己視〕1b。

星の王子さま』(サン・テグジュペリ)  星の王子さまは、家くらいしかない小さな星に住んでいた。王子さまはふるさとの星を旅立ち、王さま・うぬぼれ屋・酒飲み・実業家・点灯夫・地理学者が住む六つの星を訪れて、最後に地球の砂漠に降り立った。→画像

http://www.aichi-gakuin.ac.jp/~kamiyama/index.html

なかなか使いようによってはおもしろい辞典です>それにしてもすごい労力だな

これがはてなでリンクされていたら面白い>最低キーワード登録してもいいな