万国衛生博覧会

hugo_sbさんのところで見たElsken の撮影した衛生展覧会の最初の写真(hugo_sbさん、ありがとう)、ついこの間どこかで見たことがあるなと思いあれこれ探し、やっと見つけた。そう、田中聡が既出
<乱歩の時代>で

乱歩の見世物趣味も、そんな驚きの瞬間に漂う官能、見ることのエロスにその要があった。

と述べながら、M20(1887)東京築地本願寺を会場にした最初の衛生博覧会からはじめ、会場内に展示された内蔵模型、疾患模型、またそのために使われた蝋製標本(ムラージュ)の技術伝授にいたる経過、さらに大正後半から全国で広がった有田ドラッグ商会のショーウインドウのいかがわしさについて言及している。
 その図録、写真の一つだった。
きっと、当時の人は、<衛生>教育的観点という見ることを正当化したい気持ちと、それとは反対に、性的好奇心のまざった、奔放な視線に委ねてみたいという本音、その両極に揺れ動いていたのだろうな。胎児標本や梅毒やいろんな病症模型を見せていたこの奇妙な見世物小屋に。

 話は戻って、エルスケンの貴重な下の写真を見ていると、活人形があるようだが、大正後半から昭和初めなら分かるが、撮影時がS35(1960)なのにどうしてそんなもの(その時点でもキッチュと思われる)が残っていたんだろ、不思議でならない。
 だって、もし、その時代、そこにいていたら、僕を含め大半の人は写真の奥の隣のストリップ劇場(見世物小屋)へ間違いなく吸い込まれたと思うから(汗