久作の周辺2

 前述の高橋康雄(英文の康也じゃないよ)は他の戦前の少年少女文学を論じているが、夢野久作につき、こう言っている。

夢野久作と童話、などというと怪訝な面持ちをされる向きもあるかもしれないが、私は『ドグラ・マグラ』や『犬神博士』などを読んだ時以来、宮沢賢治の童話というのと同じ意味で久作と童話を結びつけてきた。童話というとなになに、久作に童話があったのか、と色めきたつかもしれないが、『ドクラ・マグラ』などの諧謔味は如何にも童話的であって、いわゆる小説と違う夢の世界に誘ってくれる。作品の構造面からいってもまぎれもなく童話であって、強いていうなら大人の童話とでも名付けたらよいのかもしれない。

前読んだ『犬神博士』の主人公チイなんか、手垢にまみれた言葉だが、山口昌男の<トリックスター>丸出しでとしか言いようがない。>文庫の解説もしていたね
それと<サンカ>の系譜放浪する旅芸人につらなるんじゃないかな。