勾引,神隠し、天狗

江戸幕府公設売春制度遊郭(吉原の他、京都島原、大阪本町)の実態、沿革を明らかにしていて興味深い。
公娼以外の私娼が次第に隆盛し、広がり、その制度も形骸化していったてのがとりわけ面白い。
明治以降もそんな感じかな。>十二階下の私娼窟
<吉原・島原>
歴史新書89
小野武雄著
1978,8.20
教育社
筆者は明確な数字は乏しいがと断り、遊女の供給源として
1.隠れ売女を弾圧して遊郭
2.女衒を活用し、幼若の女を買い集める
と指摘し、こう続ける

悪質女衒は濡れ手で粟のボロ儲けを考えて、法を犯して勾引(かどわかし)を行った。祭りなど人の群集するところ、黄昏時、戸外で遊び迷っている幼少の女の子をかっさらって、遠方へつれさらって、遊女屋へ売る、幕府のお膝元たる関八州では割合に少なかったが、地方では、しばしば勾引が行われた。上方では、お伊勢詣りや巡礼の女の子が狙われた。人々はそれを神隠し、天狗の仕業と称した。