そのときの姉の声今も「植草甚一読本」晶文社1975,9,30初

utu2004-04-03


 植草甚一の本を読んでいて、明治41年生まれ、明治33年が1900年だから1908年生まれ、前述の平野威馬雄とそんなに変わらない時代を生きた人だったのだな。
思春期に堀口大学訳の『夜ひらく』(ポール・モーラン)、村上知義の『構成派研究』、稲垣足穂(タルホ)『一千一秒物語』に影響を受けたことを書いているくだり(そのときの姉の声今も)に出会い驚くと共にさもありなんとおもった。
金子光晴平野威馬雄植草甚一スタイルは違うにしても、東京、いや江戸の戯作派、あるいは江戸モダニズム(大正末から、昭和にかけた昭和モダニズムの源泉にふれながら、J.J氏につき南博はそう評していた)の系譜なのか。
この本買った当時あまり気にしなかったのだが、外国の映画スターや監督と映っている写真数葉になぜか(たぶん親交のあった関係上)若き日の淀川長治(サヨナラサヨナラのおじさんだったぼくには)のにこやかな笑い顔がみられた。