<さしえの50年> 尾崎秀樹(ほっき)

1987,5,13平凡社  
この人の本初めてなんですが、よかったです。
 膨大な資料を丁寧に検証しながら(取材もしている)的確に分かりやすく説明し、同時にその画家の時代背景をも浮き彫りにしていて、日本の挿絵画家の辞典にもなっている。
 著者が特異な作家として竹中英太郎岩田準一を挙げ紹介しているほか、新青年を舞台としたナンセンス、ユーモア、漫画で活躍した水島彌(弓へんなし)保布、吉田貫三郎、横山隆一などに注目していること。

 岩田準一については戦前の男色研究家として有名だったぐらいで、<新青年>で挿絵を手がけているのは知らなかった。

岩田準一(いわたじゅんいち)←本書参照
1900〜45
鳥羽生まれ
江戸川乱歩と交際し<踊る一寸法師><パノラマ島奇譚><鏡地獄>などの挿絵を描く。
S5,8からS6,4犯罪科学に<本朝男色考>、<室町時代の男色>等発表
南方熊楠との往復書簡でも有名
また民俗学者として志摩のはしりかね(S15)等の研究もある。