淀川長治 ぼくの映画百物語

utu2005-01-15

1999,4,10 平凡社 カバー山本容子の銅版画←借り物

 いやはや、おもしろいすー、なにがって?
 本書で出てくる関西弁で<オバハン>という言葉や(それまで知らんかった長さん、神戸市出身だったのか、子供のころ日曜映画劇場の解説で標準語しゃべっていたので、またJ・J氏(植草甚一)の本の写真なんかから東京の人かと勝手に思っていた)や<やらしい>という女言葉がでていたり、また、たとえば、戦前のイタリア映画に付語るところで

そのイタリアものがクセモノでございました。私、よわい8歳。ああこの年は私にとりましては童貞は奪われるわ、映画の洗礼を授けられるわ、私の8歳はまことに運命の黒星ピカピカと光った年でございました。

と、ホント話術に長けた語りぶりでいて、生前の、昔の面影がしのばれて、読んでいると懐かしさとユーモアのセンスに微笑みたくなること何度も。
 こちらが大きくなるとこのひと映画解説では詰まらん映画でもなにか解説している人ぐらいで、馬鹿にしていたが、今回、読んでみて自分がド阿保で、淀さんすげー人だと、帽子を脱ぎ、襟をただしました。
 
 ぼろかす(批判)の対象は中村(萬屋)キンノスケ、スピルバーグ、<タイタニック>、<セブン・イヤーズ・インチベット>等、いやあの温厚なテレビでの解説と違い、歯に衣着せぬところがまたいい。

最近初期の映画とか、サイレントなんかレンタルで見ているが、<メトロポリス>、<グリード>、<イントレランス>なんかすごいと思ってたら、淀さんやっぱこれらについても熱く語っていたよ。それと<フリークス>も。
最後の弁士だったんだな。

やらしい度(もちろんいい意味)☆☆☆
弁士度☆☆☆☆