<キングの時代>佐藤卓己

2002,9,25岩波書店
まえのつづき↓
http://d.hatena.ne.jp/utu/200502
前半までは興味深く読ましてもらった。>面白かったよ。

 ただ、ハバマースの公共性の概念から大衆誌<キング>の読者参加云々、著者のこの概念規定を自明としているせいか判りにくいし、著者自身どれだけ咀嚼しているのか心許なかった。
 それと、S30年代出版年鑑などにより数字的には従来の見方・国家権力・ファシズムの暴圧下で出版物が減り萎縮したとの通説をひっくり返し、むしろ大衆雑誌は量的に隆盛していたとの説、確かに数字的にはそうだったのだろが、具体的に創刊年度タイトルぐらい羅列しないと説得力に欠ける。
 例えば、ここには創刊雑誌のコレクションがあり、書影とタイトル、年月日等記載され大変参考になる。高橋文庫コレクション↑http://www.noracomi.co.jp/takahashi/soukangou/sk1945.html

 後半(僕は全然興味なかったが)戦中の出版・ジャーナリズムのファシスト的参加について(戦争)責任の違った評価を下すのは著者の勝手だが(ひょっとして、これがなんとか賞もらったユニークなところかい!それはねーだろう!)、こうした大きい問題についての著者の論理展開が十分なされていない嫌いがあった。
 最後に、やっぱ、写真とか、イラストが少なすぎ!>結構文句いっているなオレ!笑

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映画<小説>
口絵 足
それと
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/ ペンクラブから
野間清治の『キング』創刊前後が読める