日夏耿之介の切り捨て

改訂増補<明治大正詩史>(巻之下)日夏耿之介
S24,11,20初 28,10,30 3版創元社

 詩人萩原朔太郎を殺してますわ、そのほか当代の文壇巨人北原白秋西條八十等をばたばた切り捨ててます、死刑宣告しまくり。
 あの萩原恭次郎の<死刑宣告>じゃない、例の辛辣批評で次のように評している>的得ているだけ面白い。

萩原は、処女詩集とこの「青猫」とが彼の高みのまぎれなき絶頂で、その巳下は急にけづつたように下り坂となって、前二者の繰り返しを一歩も出ず、(省略)そして宿好の酒が体を痛めた許りでなく、心のデリケイトな反省透察感得をほんの少しづつ喪って行って、ついに彼の昭和の於ける死が来た。あたかも後の「氷島」はその焦燥のそのまま凍化した中間所産であった。

口語自由詩から後退し詠嘆調によった朔太郎に対する批判だろうが、そこまで言うか!

朔太郎
大正6年<月に吠える>
大正12年<青猫>
昭和9年<氷島>
同17年死去