蜘蛛男

昨日の日記でふれた古河の本
妙なこと②
蜘蛛男の項で
本書が多くを負っている<見世物研究>(S3、朝倉無声)から引用し内田魯庵翁からの伝聞として蜘蛛男について物語っていること。
平行して魯庵を読んでいたんで、見てみると確かにそのことがあった。
実際魯庵は<明治以降ー「見せ物」の変遷>で
幼年時代を回想しながら自分が奥山(浅草六区)で生人形(カラクリ人形)や蕎麦細工や貝細工で拵えた人形にふれ、さらに一番感動したのはイタリアのチャリネ曲馬団(サーカス)だと言い、その近代的なセンスを分析している。そして最後にM14,5年頃蜘蛛男を見たことについて

一体こういふ畸形児は医学上の参考物となっても眼に見て快いものでない。(略)・・・・動物の畸形を興がる心持ちさへ呑込めないが、況してや人間の畸形を見て笑ひ興ずるといふは沙汰の限りだ。その頃の一般人の低級さ加減は之を以ても知るべきで、今なら蜘蛛男が再生して顧みるものは無からう。

ゆまに書房内田魯庵全集S62,9,25補巻3、もと<週刊朝日>第3巻17号(T13,7,1)より


↑<内田魯庵山脈>( 山口昌男 晶文社)より<中将湯>の広告女人に注目

浅草6区 青木一座の玉乗りの小屋
↓(明治4フラッシュバック <サーカス>、1998,4,10筑摩書房 森田一朗編)より