アール・デコとキッチュ

美術手帖の<アール・デコ>(装飾の修辞学)特集1977,8月号を繰っていて、おやっと思ったのが、海野弘の次の文(泡立つジャズ・エイジのタイトル)

ではアール・デコはまとまったものとしてではなく、二つに分けて考えるべきなのだろうか。あらゆる雑多なものを含み、混沌としていることが、アール・デコの概念を今日、有効なものとしているのだと私は思う。(省略)

      
アブストラクト・アート、シュルレアリスム、エクスプレショニスム等の分類概念に当てはまらないその周辺部分の画家としてゲオルゲ・グロッス、オットー・デックスに焦点を当て、

アール・デコは、その上層におて絵画や彫刻などの純粋美術に接しているが、下層においてはファッションやあらゆるガラクタ(キッチュ)の海にひたされている。そしてこの両極をつないでいることが、アール・デコが現代によびかける意味なのである。

やはり、アールデコの中のキッチュ的要素をつとに指摘している点、すごいなぁと思う。