デカダンスが足りない

無防備都市 (1945/伊)
Roma, citta` aperta
Open City
[Drama/War]
監督 ロベルト・ロッセリーニ
脚本 セルジオ・アミディ / フェデリコ・フェリーニ
撮影 ウバルド・アラータ
美術 ロサリオ・メーニャ
音楽 レンツォ・ロッセリーニ
出演 アルド・ファブリーツィ / アンナ・マニャーニ / マルチェロ・パリエーロ / フランチェスコグランジャッケ / マリア・ミーキ(映画批評空間より)

どうなんだろう、ドキュメンタリーかと期待しすぎたせいか、もう一つパッとしなかった。>こちらの迷妄
 第二次対戦終了間際イタリアが降伏して一時的にローマがナチドイツに占領された時のレジスタンス内部の裏切りをテーマにしている作品。
 マリア・ミーキ演じる準ヒロインがナチの手によって麻薬中毒とレスビアンに陥って行き主人公達を裏切るのだが、そのプロセスがもう少し描かれていたら・・・と思ったが、それでは監督が問うたヒューマンなテーマと全然違うエログロになってしまうか>汗
http://tesla.liketelevision.com/liketelevision/tuner.php?channel=950&format=movie&theme=guideより画像女優Maria Michi )
 レジスタンスの主人公も、牧師もナチによって虐殺され、ラストで子供達がその牧師の銃殺刑を鉄条網の外から覗いた後、暗澹とした表情で帰る場面が安易なヒューマニズムに堕するのを救っていたのは評価。

 そのドラッグはたぶんコカインだろう。
20、30年代ヨーロッパで隆盛していたから。
そのへんは、イタリアの既出大衆作家Pitigrilli(ピチグリリ)代表作の<コカイン>(未読)でパリのモンマルトルでのコカイン使用者の風俗が描かれているようだ。

 一方、別の映画<シャドウ・オブ・ヴァンパイア>(2000/米E・エリアス・マーヒッジ監督)
マルコヴィッチの穴>(1999/米スパイク・ジョーンズ監督)からどうかなと思いレンタル店で借りたが、これはムルナウが<ノスフェラトゥ> (1922/独Nosferatu)を製作したが、その製作過程を解釈し直し、映画にしたもの。
http://www.udokier.de/彼のオフィシャルサイトより画像)
 俳優マクス・シュレックが実は本物のノスフェラトゥだった点がひねり。また、ムルナウが映画のためには手段を選ばず俳優やスタッフまでも生贄にささげる、イカれた監督として描かれている。というか、モルヒネ(たぶん)中毒のイカれた監督として。
 しかし、既出ウド・キアーが端役で出ていて、その存在感がまったくなかったのは残念無念。最初のシーンでチラッと第一次大戦敗戦後ドイツの退廃を見せてくれたが、それを織り交ぜて、ノスフェラトゥ役はウィレム・デフォー(たしかに似ているが)でなく、ウド・キアーで、それも若い時の怪しげな風貌で出すべきだった。そうか反対に、やはり、徹底したコメディー路線にでもすればよかったのに。