黒岩涙香とかとか 

怪盗対名探偵 フランスミステリーの歴

<幽霊塔>http://www.aozora.gr.jp/cards/000179/card943.html
大変興味深く読ましていただいた、さんくすー
というのは、前回の日記でファントマ、ジゴマなんか気になっていたので、次の本を借りて読んでいた、そうすると、著者のキーワードロマン・フィユトン(19世紀仏ではやった新聞連載小説)からフランスミステリーの源泉を探るべくシュー、ユーゴー、デュマ、ヴェルヌ、ルルー、ルブラン、シムノンナルスジャック、そして現代のセリ・ノワール等の作品を再評価するというユニークな論(怪盗小説と追跡小説のなかで仏および日本でどうして追跡小説・本格派がそれほど人気を得なかったかなどについても考察)。
 そのなかで仏のエミイル・ガボリオの世界最初の長編探偵小説<裁判小説人耶鬼耶(ひとかおにか)>1888年(M21)*1に黒岩が始めて翻案訳出、そのほか<他人の銭>*2、<有罪無罪>*3等の訳業が紹介評価されていたから。
それがこれ。
<怪盗対名探偵 フランスミステリーの歴史> 松村喜雄1985,6,1晶文社刊←借り物
///////////////////////////////////////////////

それで興味がわき、青空文庫で黒岩の訳本読んでみたというわけ。
黒岩涙香<幽霊塔>読んでみると、
19世紀英国を背景に遺産相続、復讐劇、恋愛、探偵もの、身代わり>おどろおどしくも最後はハッピーエンドでカタルシス




映画ジゴマ 
1911年ヴィクトラン・ジャッセ監督日本公開、子供中心に一年にわたるブーム、和製ジゴマの横行、子供への悪影響を心配し警視庁これを中止、これを機に1925内務省の検閲が映画にも及ぶようになったそうだ←国文学増刊改装版<発禁・近代文学誌>2002,11,1學灯社刊より写真も

ところで、前述の<怪盗対名探偵>にはファントマについても書かれていた
ファントマ1910年から14まで作者ピエール・スーヴェルストルとマルセル・アランの合作でファントマシリーズが32編発表されたそうだ。

したがって、映画ドクトル・マブゼについていえば、時代的にはジゴマ→ファントマ→マブゼということで、間違ってましたスイマセン
 マブゼ博士もちろん探偵もの、ミステリーの香もするが>というより、むしろいかがわしい・怪しいところがいい

ジゴマを訳した久生十蘭が活躍した大正〜昭和期探偵・モダン雑誌<新青年
新青年傑作選>全5巻(中島河太郎編集)は立風書房から、記憶違い
写真はS44,12,25の同書第三巻・恐怖・ユーモア小説編函

*1:原作L'affaire Lerouge1866、後年S25、岩谷書店よりルルージュ事件(田中早苗訳)

*2:1889(M22)三合館より黒岩翻案訳 L'argent des Autres(1874

*3:同年のM22 魁真楼より黒岩翻案訳Le corde au cou(1873)、後年<首の綱>としてS5、江戸川乱歩名の訳で春陽堂の探偵小説全集