批判・罵倒1外骨編

工事中のお地蔵さん

批評か、罵倒か?
毒舌家?風刺家?
外骨、タルホ、小林秀雄夢野久作等あがる

これは宮武外骨の昭和初めの円本ブームに対するおもしろい批評です
http://www2s.biglobe.ne.jp/~dolly/ichienbon.html#ANK37

著作界の売名家、奇人変人中のニセ悪人
雑学大博士 外骨先生著 近来にない簡潔犀利の力作
一円本流行の害毒と其裏面談

熱烈の筆 痛快の論 辛辣と皮肉 好謔と善罵
拍案拍掌 愉絶壮絶 溜飲の薬にもなる
(一冊定価金タッタ十銭)
(略)
遅れ馳せに出た破廉恥漢の醜様全集
全集物の全盛期にも、此方は流行カブレの仲間には入らないぞ、といったような態度で、従来の雑誌五六種を発行するのみで居た某区内の某社までが、近頃全集物の一円本を二種出すに至った、それは雑誌のヤシ的誇張広告を諸新聞紙上に出しても、五割以上の返本があるのは、其内容の空疎に呆れて顧客が漸減するものとは気付かず、是も全く流行円本の影響だとばかり見て、遅れ馳せにクダラヌ全集物を出す事になったのであろうが、出版界の破廉恥漢、汝に良心ありやと、曾て同業者会で罵られた事もあるノロマ[#「ノロマ」の「ノ」と「マ」に圏点]ならぬ狸爺、例の「果然満天下の熱狂的歓迎」とか「予約者殺到期日切迫」などと諸新聞紙上に、誇大文句を並べるであろうが、イクラまで愚物を釣り寄せ得るか、皮算用の十分の一にも達しないことを予言する
昨今の諸新聞を見ると、彼は果して例の誇大文句を並べた大広告を出して居る、其中で最も小癪に障る一二の文句「報国の赤誠より出たる献身的大努力の結晶」だとサー、笑わせるではないか、破廉恥漢の赤誠とは赤い舌を出す「赤舌」の間違いだろう「面白い全集だ、子孫に伝えたい不朽の名著だ」とは「旧版丸抜きのクダラヌ低級の全集だ、漉返しに送りたい不用の紙屑だ」とすればよいとこ「素晴しい盛況、印刷製本の能力及ばざる時は期日前に〆切るやも知れず」とホザイてるには呆れる、早く〆切ったが両方のタメだろう

野間清治講談社をやっつけている

ボロカスではあるが、読んでいるとおもしろい。読みたくなくなるのもあるのにさすが外骨先生!
でも、資本の下に(くだらない)本でも大量生産・安値販売やってくれたのは当時の大衆にはありがたかったはず、明治精神の外骨にはその企業家精神がゆるせなかったのだろうが・・・改造社の円本↓

怒りでぶるぶる震えているのが手に取るように判り、おもしろい
他者(対象)を怒ることで自らを表すので著者の内面やらが端的に表れている

極めつけ!のユーモア(差別用語等問題点ありますが、著者の文意をはかりそのまま引用、ご容赦!)

全集の全集

世界大皮相全集  現代人真似全集
現代大衆文盲全集 日本愚筆全集
誤字誤訳全集   駄法螺宣伝全集
見本立派全集   内容空疎全集
旧版丸抜全集   粗製濫造全集
盲目千人全集   衆愚雷同全集
新聞社大儲全集  安かろう悪かろう全集
予約者後悔全集  不読ツンドク全集
古本洪水全集   縁日安売全集
予想裏切全集   中途ヘコタレ全集
紙屋踏倒全集   発行元夜逃全集