昭和の漫画<スピード太郎>

少年小説体系資料編1 尾崎秀樹、小田切進、紀田順一郎監修
1988,5,30初 三一書房←借り物
著者 宍戸左行(ししどさぎょう)
本名 嘉兵衛
M21(1888)福島県生まれS44,12月死去
昭和元年日本漫画連盟結成 (下川凹天麻生豊柳瀬正夢らと)
機関誌「ユーモア」の編集長等をしていたそうだ。

 <読売サンデー漫画>にS5,12月より連載、後<よみうり少年新聞>に舞台を移し、9,2月まで連載された。S10 第一書房から単行本として刊行された。
それの復刻版

 ひょんなきっかけで、金がギャングにねらわれた主人公太郎が熊さん、お猿さんと冒険を繰り広げる児童漫画。
 追跡したところが金貨狂いのドルマニア王国。そこでお姫様を救出するが悪漢伯爵との追跡劇と逃避劇が展開される。果てはドルマニア王国とクロコダイヤ王国の戦争に巻き込まれ、戦争を止め、平和の使者となる。最後にドルマニア王国に謀反を起こした悪人伯爵をやっつけ、だまされていた王様を助けて目出度し目出度し。>結構話は子供には複雑かも。

 これは明らかに政治風刺と大人には思える。同時に太郎が乗っているのがまず、自動車でびっくり。そしてスキーや飛行機。ほかにもここに登場する当時のモダンなものとして潜水艦、モーターボート、エレベーター、ラジオ、テレビ、ツェペリン等。まさにスピード=モダンの申し子と言うべき文明の利器が次々と出てくる。>当時の子供にはわくわくするあこがれのものだっただろう。

 連載された前年S4はニューヨークの株式暴落に端を発する世界恐慌の開始、浜口内閣の金解禁と緊縮財政、翌年S6満州事変、国内的な世相としては農村不況と労働争議、都市でのエロ・グロ・ナンセンスの隆盛、自動車、ラジオ、レコードの普及。不況の下での大量生産と消費の台頭。

単行本にした高踏派の第一書房(1円50銭、5000部)やぱすごい!