<愚者の飛行術> 堀切直人
S62,10,1沖積舎←借り物
以前同著者読んだことがあるんで、久しぶりに読んでみた。
キーワードのバフ−チンの笑いやバロックというのが、気になったが、近代日本の自意識を突破する概念として使っていて、具体的には谷崎順一郎、岡本かの子、稲垣足穂(タルホ)、金子光晴、江戸川乱歩なんかの作品を論じていて面白かった。
中でも金子光晴を論じた<人間の喜劇>は、彼の<人間の悲劇>のタイトルを真っ逆さまにした、意表をつく異色論。
小金を貯めた遊治郎が航海途上難破し、鱶に狙われながら漂流する落魄の航海の人生に落ちるのが、反転し、
いっそうタフになり、軽やかになり、ユーモラスな人物となる。
(略)
ひとかどの泳ぎの達人として地上に這い上がる。そのとき彼はすでに空中をも自在に飛びめぐれるタオイストに成長している。
晩年気に入ってこちら京都のストリップ劇場まで、足繁く通い、気炎を吐き、矍鑠たるところを見せた詩人金子、その絶望と一見投げやりなパフォーマンス。
A・ランボオ(ランボー)にイカレ、また彼に似て、早熟の天才であった小林秀雄と金子光晴の両者、爺になったら(もうなってます汗!)、僕なら、金子の生き方に憧れるよ。